2014年JOA合宿の練習ガイドラインについて

2014年のJOA合宿について、練習内容のガイドラインを公表します。選手及びコーチにおいては、練習参加の際の参考としてください。

【基本方針】

 オリエンテーリングは、特に世界で戦う場合、様々なテレイン(植生、斜面、地形、岩場等)に通用する技術を身につける必要がある。したがって、日本でも、特定のテレインや地形に特化した練習ではなく、幅広く技術の引き出しを広げるような、テレイン、コースを経験することが重要である(言い換えれば、悩んだり、失敗したり、今までの技術がうまくいかなかったりすることが経験できること)。
 特に第3回までは、基礎練習時期でもあり、どのようなテレインでも共通する基礎技術を多様なテレインで経験する機会を与えることを目的とする。
 但し第4回の4月以降は、2014年の大会を意識し、特にフィジカルとナビゲーションのバランスを実践に近い形で体験させるため、テレイン、コースを実践に近くシフトする。
 練習は、内容、目的、強度(H~L)を選手に周知、自覚させた上で行うことで効果を高める。
 練習難易度は指導教本の「レベル6」を原則とし、変則的な練習(ノーコンパスやウインドウマップなど)では「レベル4」程度までの幅で織り交ぜる。また、経験年数の少ない選手のアドバンスト登録選手に考慮して、参加レベルに応じて「レベル5」程度のコースを用意しておく。

■第1回~第3回(3月まで)

【全体】
・基礎練習を中心とし、練習のまとめとなるレース形式の練習を織りまぜる。また、合わせて選手の冬場のトレーニングに貢献するため量もある程度確保する。
・練習の全体量の目安はシニア男子で、森での練習が10km~12km/日程度(女子×0.8、ジュニア×0.8、富士、日光など緩斜面テレイン換算) 
・+αで朝錬(選手の自主活動を奨励)やフィジカルセッションを設けることも可。但し体力面で劣るジュニアは、技術練習を重視し、+αの練習は優先順位を下げる。
【基礎練習】
・基礎練習は、すべてのテレインに共通して必要な技術の獲得を目的とし、
 ①練習目的を明確にした通常の地図を利用したコース(コンピ、直進、地形ライン利用)
 ②オリエンテーリングの要素に特化した練習(コンタマップで「地形読み」、ノーコンパスで「整置」、ウインドウマップで「直進」など)
 などを積極的に取り入れて、各要素に分解し、意識した練習を行うことで各自の技術の基礎力アップを養う。
・基礎練習の強度は原則としてL~Mで行う。(つまり計時は必須でない)
・基礎練習を目的とする場合、きちんと練習の目的を伝えれば、多少キロタイムの遅いコース(登りや藪、岩場が多い)でも良い。 
・ただし、極端に遅いコース(例男子でレース形式でやったと仮定しても15分/km以上)ばかりだとストレスがたまり練習へのモチベーションが低下するため、適度にストレスの少ない練習を織り交ぜるとよい。
・コーチや選手同士のランニンブオブザベーションなどのメニューは基礎練習の中で取り入れる。
【レース形式】
・基礎練習の成果を確認するために、通常のレース形式に近い練習を取り入れる。(1~2本/合宿程度)
・練習強度はH。原則として個人レース。この時期はあまり長くはしない(最大4km程度以内)
・レース形式練習は、目的意識を明確にするため、原則スタート時間を決め、計時する。(電子パンチ利用は運営上の都合で決める。手動計時でも可)
・レース形式練習は、キロタイムを実践に近い値にする。
【マススタート形式】
・この時期は重視しないが、移動や、練習量の調整、メニューのアクセントとして入れることは可。但し多用はしない。
・目的の中心は、フィジカルトレーニングと、他者がいる中で自分の習得した技術を発揮する実践練習。
・練習強度はH
・コースは怪我も配慮して危険な地帯は使わない。
・基礎の固まってない選手は、他の練習を優先する。

■第4回~第6回(4月~5月)

【全体】
・各遠征チームが確定し、各選手の問題点や個性などをコーチが把握して対策していく期間。
・夏の遠征に向けて、練習を実践的な内容にシフトしていくが、選手の特徴をつかむためのメニューも同時に用意しておく。
・練習を行うテレインや、コース(キロタイム)などは実践を意識した内容に変えていく。
・全体のトレーニング量は、高いレベルに置く。(シニア男子10~15km/日程度、女子×0.8、U-20×0.8)
・+αで朝錬(選手の自主活動を奨励)やフィジカルセッションを設けることも可。但し体力面で劣るジュニアは、技術練習を重視し、+αの練習は優先順位を下げる。
【基礎練習】
・JWOC向けの練習で必要に応じて実施量は第3回までと同様に実施。
・それ以外のシニア向けでは、全体の2~3割程度以内。選手自身がチェックし、コーチと問題点を共有する目的で行う。
・この時期の基礎練習では、極端なコース(キロタイムの遅い練習)は避ける。
・強度L~M
【対策練習】
・ロングレッグタイム比較や、ミドルを意識したコンピ練習などを取り入れる。レース形式ではないが実践的な練習。
・強度M~H
【レース形式練習】
・1本/合宿程度実施する。
・コースは実践を意識して、キロタイムを実際のレースになるべく近くする。(日本シニア男子でトップが好ましくは6分台、遅くとも7分台程度が目安) 必要に応じてダウンヒルコースなどを用いる。
・コースは3回のうち1回はロング出場者にも配慮したコースを用意したい。
・電子パンチ利用は運営の都合により選択
【マススタート形式】
・1~2本/合宿程度入れる。但し多用すると、自分の獲得中の技術がぶれるリスクもあるため、特にジュニアなどでは量を多くしない。
・目的の中心は、フィジカルトレーニングと、他者がいる中で自分の習得した技術を発揮する実践練習。
・練習強度はH
・コースは怪我も配慮して危険な地帯は使わない。
・基礎の固まってない選手は、他の練習を優先する。

■第7回~第8回(6月)

【全体】
・夏の遠征に向けて、練習を実践的な内容に絞る。
・トレーニング量は、気候や疲労を考慮して、抑え、質の高い練習に絞る。(シニア男子8~10km/日程度、女子×0.8、U-20×0.8)
・基礎練習は原則しない。
・怪我のリスクが高い練習、テレインは避ける。
【対策練習】
・ロングレッグタイム比較や、ミドルを意識したコンピ練習。レース形式練習の補足に行う。
【レース形式練習】
・1~2本/日
・コースは実践を意識して、キロタイムを実際のJWOC,WOCに近くする。(日本シニア男子でトップが好ましくは6分台、遅くとも7分台程度が目安) 必要に応じてダウンヒルコースなどを用いる。
・原則電子パンチ利用
・移動などで必要以上に疲労しないように配慮。
・コースはロング出場者にも配慮したコースを用意。
【マススタート形式】
・よりリレーを意識した形式で必要に応じて実施。チーム状況にもよるので、時期になったらコーチと相談の上実施を決める。